世界史の授業で一度は耳にする言葉があります。
「会議は踊る、されど進まず」
ウィーン会議につけられた、有名なフレーズです。
しかし、こう感じる人も多いでしょう。
・何が踊ったの?
・本当に進まなかったの?
・そもそも何を決めた会議?
名前だけは有名なのに、実態がイメージしにくい出来事の一つです。
この記事では、ウィーン会議を
👉 社交界の舞踏会ではなく
👉 ヨーロッパ再設計のための巨大プロジェクト
として理解できるよう整理していきます。
◆ 結論:ウィーン会議とは「革命と戦争の揺れ戻し」である
最初に結論を述べます。
ウィーン会議とは、
フランス革命とナポレオン戦争によって壊れたヨーロッパの秩序を、
もう一度王様中心の世界へ戻そうとした国際会議
です。
キーワードは二つです。
・正統主義
・勢力均衡
この二つの考え方によって、19世紀のヨーロッパの枠組みが作られていきます。
◆ そもそも何のために開かれたのか(因果の補助線)
ウィーン会議は突然開かれたわけではありません。
背景には、ナポレオン戦争があります。
・国境線は塗り替えられ
・王様は追放され
・ナショナリズムが刺激され
👉 ヨーロッパは「地図も制度もぐちゃぐちゃ」になりました。
そこで各国は考えます。
「この混乱したヨーロッパをどう立て直すのか」
その答えを探るために開かれたのが、
1814年から始まるウィーン会議です。
◆ 誰が参加し、誰が主役だったのか(人物で覚えない)
単なる暗記ではなく、役割で理解します。
主な参加国とキーパーソン
- オーストリア
👉 主催国 / 外相メッテルニヒ - ロシア
👉 皇帝アレクサンドル1世 - イギリス
👉 外相カースルレー - プロイセン
- フランス
👉 外交家タレーラン
ポイントはここです。
👉 フランスは敗戦国なのに、交渉の中心に戻ってきた
タレーランが、
・「正統性」を掲げて理論戦を展開
・「勝者だけが全てを決めるのは不当」と主張
これによりフランスは国際政治の場へ復帰します。
ここから分かるのは、
ウィーン会議は力だけの世界ではなく、
理屈(正統性)をめぐる戦いでもあったということです。
◆ 正統主義とは何か(名前の補助線)
正統主義とは一言でいうと、
「正しい王様は正しい家系から出る」
「革命で追い払われた王は元に戻すべきだ」
という考え方です。
つまり、
・王様は神から与えられた存在
・国民の意思で王を変えてはいけない
という、フランス革命以前の発想への回帰です。
この考え方に基づき、
・追放されたブルボン家がフランス王に復活
・各地の旧王朝が復帰
👉「革命前の状態に戻す」揺れ戻しが起きました。
◆ 勢力均衡とは何か(構造の補助線)
もう一つの柱が、**勢力均衡(バランス・オブ・パワー)**です。
考え方はシンプルです。
どこか一国だけが強くなりすぎないようにする
理由ははっきりしています。
・フランスが一強になった結果
👉 ヨーロッパ中が戦争になった
という反省があったからです。
そこで、
・国力が拮抗するように領土調整
・他国が強くなりすぎたら連携して抑える
という枠組みがつくられました。
これは19世紀の国際政治の基本原則となり、
👉「大戦争が起きにくいヨーロッパ」を作り出します。
◆ 「会議は踊る、されど進まず」の本当の意味
ウィーン会議は非常に長く続きました。
・各国の利害が複雑
・領土配分で対立
・社交界の舞踏会が連日開催
その様子を揶揄して、
会議は踊る、されど進まず
という言葉が生まれました。
しかし歴史を俯瞰すると、
👉 実際には「驚くほど進んでいた」とも評価されています。
なぜなら、
・ナポレオン戦争後の秩序を再構築
・その後約100年間、大国同士の全面戦争が回避
→ クリミア戦争まで、ヨーロッパは大戦争を経験しない
つまり、
目立つのは舞踏会だが
実態は「長期安定の設計図づくり」だった
ということです。
◆ ウィーン体制は何をもたらしたのか
ウィーン会議をもとに形成された国際秩序を、
ウィーン体制
と呼びます。
その特徴は次の二つです。
① 保守的秩序の復活
・王政復古
・自由主義・民主主義の抑圧
👉 革命的運動は徹底的に押さえ込まれました。
② しかし、下から新しい力が湧き上がる
・自由主義(憲法・国民の権利を求める)
・民族主義(自分たちの国民国家をつくりたい)
これらは地下で発酵し続けます。
やがて1848年革命、ドイツやイタリアの統一運動へ発展します。
つまり、
ウィーン体制は安定をつくりつつ、
同時に次の大変動の火種もつくっていた
と言えるのです。
◆ まとめ|ウィーン会議を「踊り」ではなく「設計」として理解する
今回のポイントを整理します。
・ウィーン会議とは
👉 ナポレオン後のヨーロッパ再設計会議
・目指したのは
👉 革命と戦争以前の秩序への揺れ戻し
・柱は
👉 正統主義と勢力均衡
・「会議は踊る」とは
👉 社交界の華やかさを皮肉った言葉
・しかし実際には
👉 ヨーロッパに「長い平和」をもたらした
ウィーン会議は、
過去に戻ろうとした会議であり
結果として近代に続く秩序の出発点になった会議
でした。


コメント