歴史の勉強で、こんな悩みを聞くことがよくあります。
- 年号が覚えられない
- 出来事がバラバラに感じる
- テストが終わるとすぐ忘れてしまう
「自分は暗記が苦手だから」と思っている人も多いかもしれません。
しかし実は、その原因は記憶力の問題ではないことがほとんどです。
原因はとてもシンプルです。
出来事を「点」だけで覚えようとしているから。
点だけがいくつも積み上がっていくと、頭の中はすぐにいっぱいになります。
しかも、点同士がつながっていないため、覚えても使う場面がなく、どんどん忘れていきます。
しかし、点と点のあいだに**“線”を引くことができると状況は一変します。**
出来事同士がつながり、順番や意味が見えてきます。
この記事では、
歴史を「流れ」で理解するとはどういうことか
について、具体例を交えながら解説します。
「流れで理解する」とはどういうことか
「流れで理解する」とは、出来事を一つずつ覚えるのではなく、
- その前に何が起きたのか
- その後にどうつながったのか
- その時代がどの方向に進んでいたのか
という時間の流れの中でまとめて捉えることです。
たとえば
- 明治維新
- 憲法制定
- 近代的軍隊の整備
- 日清戦争
これらを単発で覚えようとすると大変です。
しかし、これらをまとめて
日本が欧米列強に追いつくため、急速な近代化を進めた流れ
と理解すると、一気に整理されます。
重要なのは、
何が起きたか(出来事)より
どちらに向かっていたか(方向性)
です。
流れを見るとは、出来事を「単語」として覚えるのではなく、
時代を一つの物語としてとらえること
だと言えるでしょう。
流れで覚えると忘れにくくなる理由
ではなぜ、「流れで覚える」と忘れにくくなるのでしょうか。
理由は、人間の脳の性質にあります。
私たちは、
- 単語や数字の羅列
よりも - 物語やストーリー
の方が圧倒的に記憶しやすいのです。
たとえば、
1868年=明治維新
という単語のペアを覚えるのは大変でも、
江戸時代が終わり、日本が近代国家へ動き出した
というストーリーなら、自然に頭に残ります。
物語には必ず、
- はじまり
- 変化
- 結末
が存在します。
歴史も同じです。
原因 → 展開 → 結果
という流れに沿って理解すると、
出来事は単なる点ではなく、一本の線の上に並ぶようになります。
すると、
- なぜそれが起きたのか
- そこで終わらず、次に何につながったのか
まで同時に思い出せるようになります。
つまり、
流れで覚える
= 思い出すための“取っ手”が増える
ということなのです。
実例:明治維新〜日清戦争までの「流れ」
ここで、具体的な例を見てみましょう。
次の出来事を並べます。
- 1868年 明治維新
- 近代国家の建設(中央集権化・憲法制定)
- 富国強兵・殖産興業
- 1894年 日清戦争
これをバラバラに覚えるのは大変です。
しかし一文でまとめると、次のようになります。
日本が欧米列強に追いつこうとして、全力で近代化を進めた時代
これが「流れ」です。
この流れをつかむだけで、
- なぜ憲法を急いで作ったのか
- なぜ軍隊を整備したのか
- なぜ清との戦争に踏み出したのか
といった疑問が自然とつながっていきます。
出来事一つ一つの説明を細かく覚えていなくても、
「列強に追いつくための近代化の流れだった」
という理解さえあれば、かなりの部分が思い出せるようになります。
「流れ」が見えないと起こる3つの問題
逆に、流れが見えていないとどうなるのでしょうか。
ありがちなつまずきは次の3つです。
① 出来事が唐突に感じる
② 年号ばかりが増えてつらくなる
③ 人物名と出来事が結びつかない
「なぜその出来事が起きたのか」が見えていないため、
いきなり起きた謎の出来事
のように感じてしまいます。
しかし流れが見えると、
こういう状況だったから、これが起きた
と、自然な流れとして理解できます。
流れで勉強するための3ステップ
では、実際の勉強でどうやって「流れ」をつかめばいいのでしょうか。
おすすめの方法を3ステップで紹介します。
① まず「大きな時代区分」から見る
最初から細かく覚えようとすると、すぐに挫折します。
👉 まずは大ざっぱに
- 江戸時代
- 明治時代
- 大正時代
- 昭和前期
といった大きな枠でつかみます。
細部はあとからで構いません。
先に“地図”を広げてから、
道の細部を書き込んでいくイメージです。
② 各時代に「名前」をつける
覚えやすくする最大のコツは、
自分の言葉でラベルをつけること
たとえば、
- 明治:背伸びの近代化の時代
- 大正:民主主義の芽が伸びた時代
- 昭和前期:不安と混乱が深まった時代
などです。
教科書的な表現でなくても構いません。
自分がピンとくる言葉でOKです。
③ 出来事を「流れの上」に置いていく
さいごに、
- 覚えたい出来事を
- その流れの上にポンと置く
という感覚で整理します。
出来事から覚えるのではなく、
先に流れを作り、そこに出来事を置く
これが理解の近道です。
出来事は「主役」ではなく、
流れを説明するためのパーツとして位置づけます。
まとめ|まずは流れをつかもう
- 年号暗記だけでは忘れやすい
- 出来事は「点」ではなく「線」で理解する
- 重要なのは、時代全体の方向性
- 物語としてとらえると記憶に残りやすい
歴史は、
ひとつひとつ覚える科目
ではなく
流れをつかんで理解する科目
だと言えます。
まずは流れ。細部はそのあとで。
次回は、「因果関係で理解する歴史とは何か」について解説します。
さらに一本、歴史に補助線を引いていきましょう。
◆ 関連記事
第1回|歴史に補助線を引くという考え方
第3回|因果関係で歴史を理解するとは何か
第6回|第一次世界大戦とは何か(流れの実例)


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